予防・メンテナンス

Preventive

予防・メンテナンスについて

Preventive
予防・メンテナンスについて

北欧などの歯科先進国では、定期検診を受けることが習慣となっています。それは、定期検診が歯の寿命を保つことにつながるとわかっているためです。

検診を受けている人と受けていない人とでは、80歳になったときの歯の残存数に大きな違いがあると言われています。定期検診の有無だけではなく、定期検診で日ごろのケアについて指導を受けることも含めて差が出ると考えられます。

毎日むし歯に気をつけ、歯垢を溜めないように歯磨きをすることで、高齢になっても歯を保つことができます。これに加え、補助的にクリーニングやフッ素塗布を行なうことで、充分なメンテナンスになります。

また、歯の本数が少ない人ほど、1ヵ月にかかる医療費が高いと言われています。予防意識と規則正しい生活習慣を心がけることが健康の礎となり、経済的な負担を抑えることにもなります。

定期検診、メンテナンスの重要性

  • バイオフィルムは3ヵ月ほどで形成されるため、専門的なクリーニングで除去する必要がある
  • むし歯の早期発見・早期治療によって診療回数が少なくなり、患者さまの負担が軽減する

定期的に歯科医院へ通うことをおすすめするのには、理由があります。3~4ヵ月ごとにメンテナンスを受けることをおすすめします。

当院の予防処置

  • フッ素塗布

    フッ素塗布

    フッ素には再石灰化の作用があります。酸によって軟らかくなり始めたエナメル質が、フッ素の働きで再度硬くなります。ほかにも、むし歯を促進する細菌類の活動を弱め、酸の発生を抑える働きもあります。フッ素は一度塗っただけで終わりではなく、3~4ヵ月ごとに何度も繰り返し塗ることで、むし歯予防の効果がより高まります。

  • シーラント

    シーラント

    むし歯になりやすい奥歯の溝を薄いプラスチックで塞ぐ、むし歯予防の方法です。奥歯の溝は複雑な形をしていて深いため、歯磨きをしているつもりでも食べかすが取れないことがあります。そこに細菌が溜まり、むし歯にかかりやすくなります。シーラントは磨きにくい奥歯の溝をむし歯から守ります。

  • 位相差顕微鏡による病原菌の確認

    位相差顕微鏡による病原菌の確認

    歯垢を採取して位相差顕微鏡で観察します。それにより、お口の中に潜んでいる細菌をリアルタイムで観察できます。歯周病の原因となる細菌の種類や量などを調べ、総合的な観点からより良い治療方法を決定できます。細菌の増減を確認しながら治療計画を細かく調整でき、予防ケアの効果がより高まります。採血などをしないため、検査による負担がかかりません。

PMTC

Pmtc
PMTC

「PMTC(=Professional Mechanical Tooth Cleaning)」をご存知ですか?PMTCとはその名のとおり、プロフェッショナルによる歯面清掃のことを言います。歯科衛生士が専用の機器を使って歯のクリーニングを行ない、普段の歯磨きでは取り除けない強固な歯の汚れとバイオフィルムを除去します。

クリーニングを定期的に受けることで、蓄積しがちな歯の汚れを取り除き、きれいな歯を保ちます。さらにバイオフィルムを破壊し、むし歯や歯周病の予防にもつなげられます

バイオフィルムについて

台所の排水溝はきれいに洗っていないと、触ったときにぬめりを感じます。経験上、このことを知っている方も多いのではないでしょうか。歯も同じで、ミュータンス菌などの細菌が集合体を作って膜を形成すると、ぬめりのあるかたまりとなります。これをバイオフィルムとよびます。

バイオフィルムが形成されると、抗菌剤やフッ素などのむし歯予防のための薬剤が歯の表面まで到達しないため、充分な効果が得られなくなります。クリーニングでは、このバイオフィルムをしっかり除去します。

バイオフィルムについて

PMTCの効果

  • 歯周病や歯肉炎などの予防

    ご自身では磨ききれない部分の歯垢を除去し、歯肉を健康な状態に戻します。

  • 歯質を強化する

    歯垢を除去したあとの歯の表面をフッ素入りのペーストで歯面清掃することで、歯の再石灰化を促進して歯質を強化します。

  • むし歯になりにくい口腔内環境

    歯垢を除去して歯面清掃したあと、フッ素を塗布します。これにより歯垢が付着するのを防ぎ、新たなむし歯の発生や進行を予防します。

  • 歯が美しくなる

    タバコのヤニやコーヒー、お茶などの着色を軽減し、光沢のある美しい歯にします。

PMTCの流れ

  1. STEP

    01

    治療計画

    染め出し薬を使ってお口の中の歯垢を可視化し、患者さまにも汚れの状態を見ていただきます。こうした検査により治療計画を立てて、今後のプランについて説明します。

    治療計画
  2. STEP

    02

    歯石の除去

    スケーラーとよばれる器具を使い、歯周組織に付着している歯石を歯科衛生士が取り除いていきます。歯石は歯周病の原因となるもので、早期に除去することで予防になります。

    歯石の除去
  3. STEP

    03

    着色物の除去

    ラバーカップやラバーチップといった器具を使用し歯の表面を丁寧に磨きます。コーヒーやカレーといった飲食物によるものや、タバコによる着色を除去して本来の色に仕上げます。

    着色物の除去
  4. STEP

    04

    歯の研磨

    研磨剤と磨くための器具を使い、歯面を隅々まで研磨します。歯の表面のざらつきを解消し滑らかにして、汚れが付着しにくくします。舌で触るとツルツルになったのを感じられます。

    歯の研磨
  5. STEP

    05

    フッ素の塗布
    (主に小学生を対象に行なっています)

    PMTCの仕上げとしてフッ素を歯に塗布します。フッ素は歯質を強化するなどの働きがありますが、クリーニングした状態の歯面にフッ素を塗布することで、より多く取り込めます。

    フッ素の塗布(主に小学生を対象に行なっています)
  6. STEP

    06

    ホームケア計画

    汚れが溜まらないようにして口腔環境を維持するために、正しい歯磨きの方法や生活習慣の改善などについてお伝えし、ホームケアの計画を話し合います。

    ホームケア計画

予防ガイド

Prevention Guid

正しいブラッシング方法

歯磨きは毎日行なわなくてはいけないケアです。しかし、適切な方法を知らずに間違った方法を続けているために、むし歯や歯周病になってしまう患者さまも見受けられます。そうならないように適切な磨き方を習得し、予防につなげましょう。

正しいブラッシング方法
  • 歯ブラシは鉛筆を持つような形で軽く握り、細かく動かす
  • 順番を決めて、強く磨かないように注意する
  • 歯肉溝のあたりは歯に対して45度の角度で歯ブラシを当てる
  • 前歯の裏側は歯ブラシを縦にして磨く
  • 奥歯の後ろは歯ブラシの先を使って磨く
  • 歯間はデンタルフロスや歯間ブラシを使う

歯ブラシは定期的に買い替えましょう

歯ブラシはどれくらいの頻度で交換していますか?すっかり毛先が広がってしまったボロボロの歯ブラシで磨いていませんか?

毎日1日3回歯磨きをした場合、歯ブラシの寿命は1ヵ月ほどです。毛先には歯垢を掻き出したり、歯の汚れを落としたりする役割があります。その毛先が広がってしまうと弾力性がなくなるため、どうしても磨き残しが多くなります。また、歯ブラシに細菌も付着してしまい、長期間の使用は衛生的にも良くありません。

毛先が軟らかくなると力まかせに磨いてしまいますが、歯肉などを傷つける原因となります。1ヵ月ほどを交換の目安とし、新しい歯ブラシでやさしく磨きましょう。

歯ブラシは定期的に買い替えましょう

同じ歯ブラシを使い続けるのは要注意!

  • むし歯や歯周病にかかりやすくなる
  • 歯肉や歯の表面を痛めやすい
  • 歯ブラシが細菌の温床になる可能性も

デンタルフロスで適切なプラークコントロール

歯ブラシだけの歯磨きでは、食べかすや歯垢が歯間に残りやすくなります。歯と歯の隙間は、歯ブラシだけではどうしても磨き切れません。「いつもしっかり歯磨きをしているつもりなのに、むし歯になった」という方は、主に歯の表面だけ磨いて歯の間の汚れは取り切れていない場合が多く見受けられます。

歯の隙間の汚れを落とすには、デンタルフロスが効果的です。これは糸状の清掃具で、歯間に通して指で上下に動かすことで歯垢などを除去します。ゆっくり前後にスライドして奥まで入れていき、歯に沿って擦りながら抜いていきましょう。正しく使用し続けると歯肉が引き締まってくるのがわかります。歯ブラシとデンタルフロスを併用すれば、むし歯になるリスクを下げられます。ぜひ習慣づけましょう。

※クラウンやインレー治療をしている箇所は、あまり強く引っ張ると外れてしまうことがあります。引っかかった場合は無理をせずにフロスの片側を指から放し、ゆっくりと引き抜くようにしましょう。

デンタルフロスで適切なプラークコントロール

デンタルフロス使用時の出血について

デンタルフロスの使い初めに多いのが、歯肉からの出血です。デンタルフロスによる出血は歯磨きのときと違い、歯と歯の間に溜まった歯垢が原因で炎症を起こしているために起きています。

細菌が付着した歯周ポケットは、歯肉が腫れて血が溜まっています。デンタルフロスはそれを掻き出す役割をもっています。デンタルフロスの使用時に出血があれば、歯周病の疑いがあります。歯科医院でチェックしてもらいましょう。

歯間ブラシでさらに歯磨きの効率がより上がります

歯間ブラシはデンタルフロスと同様、歯ブラシでは落とし切れない歯と歯の隙間の汚れを除去するための口腔ケア用品です。歯の隙間にゆっくり歯間ブラシを挿入し、前後に動かします。1ヵ所を掃除するごとに、水で軽くゆすぎましょう。

歯間ブラシやデンタルフロスは、最低でも1日1回は行なうことが大切です。とくに就寝前の歯磨きのときに実施すると、就寝中の唾液減少による雑菌の繁殖を抑えられます。

歯周ポケットなどのより細かい部位の掃除にはデンタルフロスを使用し、さらに歯間ブラシも併用することでプラークコントロールの精度がより上がります。

歯間ブラシでさらに歯磨きの効率がより上がります

予防・メンテナンスのよくあるご質問

むし歯はなぜできるのですか?

歯の表面についた歯垢にミュータンス菌が潜み、おもに糖分を栄養にして酸を出します。この酸は歯の表面の硬いエナメル質をも溶かし、その部分に穴を開けます。これがむし歯の始まりです。

修復機能である再石灰化が不可能な段階に達したむし歯は、もとに戻りません。適切なむし歯治療を受けてそれ以上進行しないようにするしか、歯を守る方法はありません。

タバコは歯に良くないというのは本当ですか?

タバコを吸う方の歯は黄色く着色しやすくなります。見た目が良くないだけでなく、口臭の原因にもなります。タバコによる着色を歯磨きで落とすのは難しいので、歯科医院でクリーニングを受けることになります。

また、タバコを吸うとお口の中の血管が収縮し、血液がしっかりと行き渡りにくくなります。さらに抵抗力も低下するため、歯周病にもかかりやすくなります。健康な歯のために、禁煙をおすすめします。

PMTCのメリットは何ですか?

歯に付着している、細菌のかたまりであるバイオフィルムを除去し、歯周病や歯周病を予防できます。また、口臭の原因となる細菌を取り除き、口臭を予防・軽減させることにもつながります。ご自宅での歯磨きよりも本格的な清掃ができ、歯の白さや輝きを取り戻します。

デンタルリンスは効果がありますか?

デンタルリンスには、一般的に殺菌、抗炎症、保湿成分などが配合されていて、歯肉の腫れや出血、口臭を防ぐ効果があります。ただし、デンタルリンスの殺菌効果はあくまで補助的なものです。菌の集合体であるバイオフィルムの内部までは浸透しにくいため、まずは歯磨きで大部分の歯垢を取り除いてからデンタルリンスを使用すると良いでしょう。

デンタルフロスや歯間ブラシは効果がありますか?

歯ブラシで歯磨きをするだけでは、歯の汚れを落とし切れません。歯垢が溜まりやすい歯と歯の間には歯ブラシが届かないため、デンタルフロスや歯間ブラシを使用してクリーニングします。さらに、歯科医院で定期的にクリーニングなどを受けると良いでしょう。

フッ素がむし歯予防に効果があるのは本当ですか?

フッ素には、歯のエナメル質と反応して歯を強くしたり、口の中の菌がつくる酵素を抑制したりする作用があります。

また、細菌により溶け始めたエナメル質の周りにフッ素を塗布しておくと、再石灰化を促進してエナメル質を修復してくれるなど、むし歯になりにくくする効果があります。

世界保健機関(WHO)は、フッ素がむし歯予防に有効な薬剤であるとして世界各国の専門機関に推奨しており、日本でも広く利用されています。

リスク・副作用

フッ素塗布にともなう一般的なリスク・副作用

  • 当院では無料でご提供しています。
  • 補助的な予防ケアとなり、むし歯にならないわけではありません。あくまでもきちんと歯磨きをしていることが大切です。
  • 効果が永続的ではないので、年に数回フッ素を塗布してもらう必要があります。
  • フッ素塗布を必要以上に繰り返したり、歯科医院でのフッ素塗布のほかにフッ素配合の歯磨き剤などを多用すると、フッ素の過剰摂取になる可能性があります。

シーラントにともなう一般的なリスク・副作用

  • 保険診療となるのは、基本的には6~12歳の子どもで、初期のむし歯があると診断された乳歯か、生えたての永久歯に限ります。13歳以上の子どもや、健康な歯に対するむし歯予防目的で行なう場合は自費診療(保険適用外)となります。詳細は歯科医師にご確認ください。
  • 補助的な予防ケアとなり、むし歯にならないわけではありません。あくまでもきちんと歯磨きをしていることが大切です。
  • 処置後少しずつはがれてくるので、効果は永続的ではありません。はがれてきたら、再度処置してもらう必要があります。
  • シーラントの下でむし歯が進行していることがあり、むし歯の発見が遅れる可能性があるため、継続的な定期検診の受診が必要です。

位相差顕微鏡を用いた検査にともなう一般的なリスク・副作用

  • 口腔内に存在する細菌を観察するための機器で、それらの活動状態を調べることで、むし歯や歯周病へのおおよそのり患リスクを把握できます。
  • この機器による検査を行なったあとの治療は、内容によっては自費診療(保険適用外)となることがあります。その場合は、保険診療よりも高額になります。
  • あくまでも観察する機器なので、最近の種類や量を正確に把握できるものではありません。
  • 細菌の活動状態を調べることで、それらに合わせた除菌ができますが、いったん細菌を除去しても、再び細菌に感染することがあるため、日々の歯磨きや歯科医院での予防処置を行なうことが大切です。

クリーニング・PMTCにともなう一般的なリスク・副作用

  • 内容によっては保険適用となることもありますが、歯の病気の治療ではないため自費(保険適用外)となることもあり、その場合は保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
  • 歯科医院でのクリーニング・PMTCだけでは、むし歯・歯周病の予防はできません。日ごろから歯磨きなどのケアに努めることで、予防効果を上げられます。
  • 歯肉の腫れや歯肉炎のある方は、器具が当たることにより痛みや出血をともなうことがあります。
  • 歯と歯肉の境目への歯石の付着が多い方は、歯石除去後、歯肉から出血が見られることがあります。多くの場合、クリーニング後しばらくすると出血は治まり、1~2日で歯肉は治癒します。
  • 着色汚れや歯垢・歯石はクリーニング・PMTCで除去できますが、効果は永続的ではありません。いずれも再付着するものなので、定期的に受診して処置を受けることが大切です。

根管治療にともなう一般的なリスク・副作用

  • 治療内容によっては保険診療となりますが、機能性を重視する場合は自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
  • 根管治療を行なうと、歯の構造が筒状になるため、歯が破折しやすくなります。
  • 再度根管治療を行なうとさらに根管壁が薄くなり、より歯が破折しやすくなりますが、コア(土台)と被せ物を接着力に優れたセメントで接着し、歯・コア・被せ物を一体化させることで、破折のリスクを抑えられます。
  • 再度根管治療を行なっても、予後が悪くなってしまうことがあります。このような場合は、外科的な治療で対応することがあります。

マイクロスコープを用いた治療にともなう一般的なリスク・副作用

  • 治療内容によっては保険診療となることもありますが、基本的には自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
  • 精密な治療を行なうための歯科用顕微鏡であり、焦点の合う範囲が狭いため、立体的な観察機器としては必ずしも適しません。治療内容によっては使用しない場合があります。

入れ歯の作製・使用にともなう一般的なリスク・副作用

  • 内容によっては自費(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
  • 入れ歯を固定するため、患者さまの同意を得てから残存歯を削ったり抜歯したりすることがあります。
  • 使用直後は、口腔内になじむまで時間がかかることがあります。
  • 事前に根管治療(神経の処置)や土台(コア)の処置が必要となることがあります。
  • 入れ歯を装着していない時間が長いと、残存歯の傾きや損失、歯槽骨(歯を支える骨)の吸収などが起こることがあります。
  • 咬合が変化したり、固定源である残存歯が削れたり抜けたりした場合は、入れ歯の調整・修理が必要になることがあります。
  • 金属を使用する入れ歯では、金属アレルギーを発症することがあります。
  • 使用方法などにより、破損することがあります。
  • 定期的な検診・メンテナンスが必要です。