歯科コラム

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訪問歯科でできる治療とできない治療について

歯科医院へ通院することが難しいご家族の口腔状態を考え、訪問歯科を検討される方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際にどのような治療が訪問歯科で行われているかを、把握している方は少ないのではないでしょうか。

本コラムでは、訪問歯科でできる治療とできない治療について解説しています。口腔環境を整えることは、健康維持の観点からも大切です。ぜひ、訪問歯科を検討する際の参考にしてください。

虫歯・歯周病治療や入れ歯の調整もできる

訪問歯科では、一般的な歯科医院のような虫歯や歯周病の治療のほか、歯石除去や詰め物、被せ物などの治療を行います。しかし、携行する器具や設備、患者さまの健康状態により、訪問歯科でできる治療は制限される可能性があります。

例えば、歯周病による歯のぐらつきや重度の虫歯がある場合、訪問歯科でも抜歯を行うことは可能です。しかし、歯の状態や健康状態、服用している薬次第では、訪問歯科での抜歯ができません。このような場合は、歯科医院や口腔外科などで手術をする必要があるため、歯科医師と相談し治療方針を決めることが大切です。また、訪問歯科では入れ歯の修理や調整、作り直しにも対応し、口腔内の不具合を改善しています。

これらの歯科治療に加え、誤嚥性肺炎の予防につながる口腔ケアや摂食・嚥下(えんげ)機能を維持するための摂食・嚥下リハビリテーションも行います。

インプラントなどの高度な歯科治療はできない

訪問歯科は主に在宅での基本的な歯科治療を提供するもので、より専門的な治療が必要な場合は治療ができません。

具体的には、歯列矯正やインプラントといった高度な設備や技術を必要とする治療です。このほかにも、外科手術が必要になる治療は、歯科医院や口腔外科で治療を行うことが推奨されています。また、口腔粘膜疾患(口内炎やウイルス性の感染症)や口腔がんなどは、訪問歯科での診断や一般的な歯科医院での治療も難しいため、専門医へ紹介となります。

健康的な生活を送るためには、定期的な口腔内のケアが必要です。ご家族の口腔状態が気になる方は、訪問歯科の取り扱いがあるお近くの歯科医院へ相談してください。

Q1:訪問歯科治療は保険適用になりますか?
A1:訪問歯科で行う治療は、保険適用となるのが一般的です。ただし、治療費に加えて歯科訪問診療料がかかります。また、介護認定を受けている場合や依頼する歯科医院により、居宅療養管理指導料・交通費が別途必要となる場合があります。
Q2:訪問歯科の利用対象となる条件を教えてください。
A2:訪問歯科は、疾患や傷病により歯科医院への通院が困難な方を対象としています。介護度に関係なく、歯科医師のそれぞれの症例ごとに適正に判断して、訪問歯科の利用を決定します。
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