歯科コラム

Column

最近ストレスが多い人は要注意?歯周病が進行するサインとは

仕事や私生活でストレスを感じると、歯茎が腫れたり出血したりといった不調を感じることがあります。

実はストレスと歯周病には深い関係があり、精神的な負担が口内環境の悪化を招くことが少なくありません。
この記事では、ストレスが歯周病を悪化させる医学的な理由から、自分で気づける危険なサイン、そして今日から始められる具体的な対策法までを詳しく解説します。

ストレスで歯周病が悪化するって本当?その医学的な理由を解説

ストレスが歯周病を悪化させるのは、単なる気のせいではありません。ストレスが原因で自律神経のバランスが崩れると、免疫力の低下や唾液の分泌量減少などを引き起こし、歯周病菌が繁殖しやすい口内環境が作られてしまいます。

ここでは、ストレスが口内環境に及ぼす三つの主な原因について、その医学的なメカニズムを解説します。

自律神経の乱れが引き起こす免疫力の低下

過度なストレスは自律神経のうち交感神経を優位にし、全身の血管を収縮させます。歯茎の血管も例外ではなく、血流が悪化すると、細菌と戦う白血球などの免疫細胞が患部に届きにくくなります。

これにより、歯周病菌に対する抵抗力が弱まり、歯茎の炎症が起きやすくなることが、歯周病の直接的な原因の一つです。

免疫機能が正常に働かなくなることで、普段なら抑え込めるはずの細菌の活動が活発化し、歯周病が発症・進行しやすくなります。

唾液の分泌量減少で口内環境が悪化する仕組み

唾液には、口の中の汚れを洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用があります。

しかし、ストレスによって交感神経が優位になると、唾液の分泌が抑制され、口の中が乾きやすくなります。

唾液の量が減ると、これらの重要な作用が十分に機能しなくなり、歯周病菌をはじめとする細菌が繁殖しやすい環境へと悪化します。ネバネバした質の悪い唾液になることも特徴で、プラークが付着しやすくなる一因です。

無意識の歯ぎしりや食いしばりが歯茎に負担をかける

ストレスを感じると、就寝中や日中に無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをしていることがあります。これらの癖は、食事の際に食べ物を噛む力よりもはるかに強い力を、歯や歯を支える歯周組織にかけ続けます。

この過剰な負担が歯茎や歯槽骨にダメージを与え、歯周組織を破壊する直接的な原因となり、歯周病の症状を大きく悪化させることにつながります。

すでに歯周病が進行している場合、その進行スピードを加速させる要因にもなります。

これってストレスが原因?歯周病が進行している危険なサイン

日々のストレスで免疫力が低下していると、歯周病のサインが見過ごされがちになります。

しかし、これから紹介する症状は、口内環境が悪化している明確な警告です。ご自身の口内状況と照らし合わせて確認してみてください。

歯磨きで血が出る、歯茎が赤く腫れる

歯磨きの際に歯ブラシに血が付着したり、歯茎が普段より赤く腫れぼったくなったりするのは、歯周病の代表的な初期症状です。
これは、歯周病菌が出す毒素によって歯茎に炎症が起きているサインであり、健康な歯茎は歯磨きの刺激程度では出血しません。

ストレスによる免疫力の低下は、このような炎症反応を顕著にします。特に、特定の歯だけでなく全体的に歯茎が腫れている場合は、体の抵抗力が落ちている証拠とも考えられます。

朝起きたときの口のネバつきが気になる

朝目覚めたときに口の中がネバネバするのは、就寝中に唾液の分泌が減少し、口内で細菌が繁殖した結果です。

特にストレスを強く感じていると、唾液の分泌がさらに抑制されるため、ネバつきが強くなる傾向があります。このネバつきの正体は、歯周病菌などの細菌や、それらが作り出した代謝物、剥がれ落ちた口の粘膜などが混じり合ったものです。
口のネバつきは、歯周病菌が活動しやすい環境になっていることを示す重要なサインです。

歯が浮いたように感じる、グラグラする

「歯が浮いたような感じがする」「指で押すと少し揺れる」といった症状は、歯周病がかなり進行している可能性を示唆します。
これは、歯茎の炎症が歯を支えている歯槽骨にまで達し、骨が溶かされ始めている証拠です。

ストレスによる無意識の食いしばりや歯ぎしりが、この状態をさらに悪化させることがあります。

歯が浮くような感覚は、歯周組織がダメージを受けている危険なサインであり、放置すると歯を失うリスクが高まります。

以前より口臭が強くなった気がする

歯周病が進行すると、歯周ポケット内で増殖した歯周病菌が「メチルメルカプタン」などの揮発性硫黄化合物を産生します。これが、腐った玉ねぎのような特有の強い口臭の原因です。

ストレスによって唾液の自浄作用が低下すると、口内の細菌が増えやすくなり、口臭はさらに強くなります。

丁寧に歯磨きをしても口臭が改善されない場合や、家族など第三者から指摘された場合は、歯周病の進行を疑う必要があります。

ストレスがあっても歯周病の悪化を防ぐ!今日からできる対策法

多忙な日々の中でストレスを完全になくすことは難しいかもしれません。
しかし、ストレスを感じながらも、歯周病の悪化を防ぐためにできることはたくさんあります。ここでは、歯周病の進行を食い止めるために、今日から実践できる具体的な対策法を紹介します。

まずは歯科医院を受診して専門的な検査を受けよう

歯茎の腫れや出血などの症状に気づいたら、自己判断で放置せず、まずは歯科医院を受診することが重要です。

専門的な検査を受けることで、歯周病がどの程度進行しているのか、またその原因がプラークの蓄積なのか、あるいは噛み合わせや歯ぎしりなども関係しているのかを正確に診断してもらえます。

診断結果に基づき、歯石の除去や歯周ポケットの清掃といった専門的な治療を受けることで、歯茎の炎症を効果的に抑えることができます。

歯周ポケットを意識した正しい歯磨きを徹底する

歯周病の予防と改善の基本は、毎日の正しい歯磨きです。

特に重要なのは、歯と歯茎の境目にある「歯周ポケット」を清掃することです。
この溝には歯周病菌が潜んでおり、プラーク(歯垢)が溜まりやすい場所です。

歯ブラシの毛先を歯周ポケットに45度の角度で優しく当て、小刻みに動かして汚れをかき出すように磨きましょう。力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまうため、軽い力で丁寧に行うことが大切です。

デンタルフロスや歯間ブラシで歯垢をしっかり除去

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の狭い隙間に溜まったプラークを完全に取り除くことは困難です。

歯間のプラーク除去率は、歯ブラシのみだと約60%ですが、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで90%近くまで高めることができます。

これらの補助清掃用具を毎日使う習慣をつけることで、歯周病菌の温床となるプラークを効果的に減らし、歯周病の進行を抑制することが可能です。

ストレスと歯周病に関するよくある質問

ここでは、ストレスと歯周病の関係について、多くの方が抱く疑問にお答えします。

歯周病は、ストレスという心理的な原因が身体症状として現れる一例でもあり、正しい知識を持つことが不安の解消につながります。気になる点があれば、ぜひ参考にしてください。

ストレスがなくなれば歯周病は自然に治りますか?

ストレスがなくなっても、歯周病は自然には治りません。

ストレスは歯周病を悪化させる一因ですが、直接の原因は歯周病菌です。一度進行してしまった歯周病は、原因であるプラークや歯石を歯科医院で専門的に除去しなければ改善しません。

ストレスが原因だと感じても、必ず歯科治療を受ける必要があります。

歯茎が腫れて痛いのですが、すぐに歯医者に行くべきですか?

すぐに歯科医院を受診することをおすすめします。歯茎の腫れや痛みは、炎症が悪化しているサインです。
放置すると歯を支える骨が溶けるなど、症状がさらに進行する可能性があります。

早めに受診すれば、治療の選択肢も多く、悪化を防ぐことができます。自己判断で様子を見るのは避けるべきです。

ストレスで口が乾きやすいです。何か対策はありますか?

こまめな水分補給や、耳の下や顎の下にある唾液腺を優しくマッサージすることが有効です。また、シュガーレスガムを噛むことも唾液の分泌を促します。

ただし、根本的な解決が重要となるため、上記の対策を行うと同時にリラックスする時間を設けるなど、ストレス管理も重要になります。

まとめ

ストレスと歯周病には密接な関係があり、精神的な負担が自律神経の乱れや免疫力の低下を招き、歯周病菌の活動を助長することで症状を悪化させます。

歯茎の腫れや出血といった炎症のサインは、ストレスが原因で体の抵抗力が落ちている警告かもしれません。

歯周病の直接的な原因は歯周病菌であるため、悪化を防ぐには歯科医院での専門的なケアと、日々の正しいセルフケアが不可欠です。

同時に、生活習慣を見直しストレスと上手に付き合うことで、口内だけでなく全身の健康維持につながります。

歯科コラム 記事一覧