歯科コラム
Column歯周病が引き起こす全身の健康への影響
歯周病は口腔内の病気として知られていますが、全身の健康に悪影響を与える恐れがあることはそれほど知られていません。
本コラムでは、歯周病が全身の健康に与える影響と、早期発見・治療の重要性について詳しく解説します。歯周病のリスクを理解し、早めの発見と日頃のケアを心がけましょう。
歯周病が全身の健康に与える影響と関連する病気
歯周病は、細菌の感染により引き起こされる炎症性疾患で、代表的な症状としては歯が抜けてしまうことが挙げられます。しかし、歯周病の本当に怖いところは、炎症による毒性物質が歯肉の血管から身体中をめぐり、重大な病気を引き起こす恐れがある点です。
歯周病が引き起こす恐れのある病気のなかには、命の危険を脅かす疾患も含まれています。
- 【脳梗塞】
- 歯肉から歯周病菌が血管内に入り込み、血の塊やプラークが脳血管を詰まらせます。歯周病でない方と比べると発症率は2.8倍と高リスクです。
- 【糖尿病】
- 歯周病が進行すると炎症系の物質が増え、糖尿病を悪化させる危険性が指摘されています。
- 【動脈硬化】
- 歯周病菌が血流に入ると、血管壁に炎症を引き起こしながら沈着物として蓄積します。その結果、血管が狭くなり動脈硬化や心筋梗塞を引き起こす危険性があります。
- 【誤嚥性肺炎】
- 歯周病菌には、肺炎の原因となる「嫌気菌」が含まれています。そのため、気管へ飲み込んでしまうと、誤嚥性肺炎を発症する可能性があります。
現在、日本では45歳~54歳の方の2人に1人が歯周病だといわれています。初期段階では痛みや自覚症状も少なく、気づいたときには歯周病が進行しているため注意が必要です。
歯周病の影響から健康を守る早期治療の重要性
歯周病は症状が進むにつれ、全身の健康に影響を与えるリスクが高まります。心臓疾患や脳血管疾患など、命の危険をともなう病気につながる恐れもあるため、意識して予防することが大切です。
歯周病は自覚症状が少ないため「気づいたときには症状が進み、合併症を引き起こしていた」とならないよう、日頃のケアや早期発見・治療を心がけてください。歯周病を防ぐために日頃からできるケアは2つあります。それが、セルフケアとプロケアです。
- セルフケア
- 毎日の歯磨きに加え、デンタルフロスや歯間ブラシなどを使用し、口腔内を清潔に保ちます。とはいえ、自分で行うケアだけでは限界があり、すべての汚れを取り除くことは難しいでしょう。
- プロケア
- 歯科医院で受けられるプロケアは、セルフケアでは取れない歯垢や歯石を除去します。口腔内をきれいな状態に保ち、歯周病を予防します。プロケアは定期的な検診にもつながるため、早期発見・早期治療にも貢献します。
また、治療後は定期的に検診を受けて予防することも大切です。歯周病が進行して後悔しないためにも、定期的な検診で予防に努めましょう。
- Q1:歯周病が起こりやすい条件はありますか?
- A1:喫煙者や妊娠中の方、40代以上の方は歯周病にかかりやすいといわれています。また、糖尿病を患っている方も歯周病リスクが高いため注意してください。
- Q2:歯周病のセルフチェックは可能ですか?
- A2:歯周病の初期段階で症状を自覚するのは難しいでしょう。そのため、定期的に検診を受けていただくことが大切です。なお、起床時に口の中がネバネバしたり、歯を磨くと出血したりする場合は、検査をおすすめします。ほかにも、口臭が気になる方や、歯肉が腫れてしまう方も検査を受けた方がよいでしょう。
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